今回の自動車産業の不況は、単なる景気の低迷でなく、環境を考えた自動車離れとも考えられ、自動車産業の景気回復の可能性は低いように思えます。
ホンダもF1から撤退。まさにF1存続の危機といえます。
実は、この兆候は今年の新春から始まっていたといえます。
今年、5月に鈴木亜久里さんが率いるスーパーアグリが、資金調達できずにF1参戦を断念しました。
開幕直前に、英国の自動車コンサルタント企業であるマグマ・グループによる買収で基本的に合意しましたが、マグマ・グループのバックにいた中東の投資グループが手を引いたことで白紙に戻り、その後、新たにドイツの自動車部品メーカーであるバイグル社と資本提携で合意しましたが、技術や資金などで協力するホンダとの条件面があわず、時間切れとなり提携に足らなかったのです。
亜久里さんが現役時代のチームの年間予算30億円程度だったそうですが、今や予算はトップチームで300億〜500億円といわれており、当時の10倍になっています。亜久里さんの小規模チームですら100億円必要といいます。
これでは、大手の自動車メーカーや巨大資本家を見つけなければ勝つどころか、戦うこともできないのが現状です。
本来、スポーツは好きな人が集まり、自由に楽しむもの。モータースポーツも車好きの人間が集まり、チームを作り、レースに参戦することで発展してきました。
好きだからこそ、資金が苦しくとも、工夫し、頑張り、不況やオイルショックを乗り越えてきたのですが、今のF1は、企業のために開催されているとも思えます。
ならば、費用対効果が重要視され、メリットがないと判断されると簡単に撤退しても仕方ないことです。これは、F1に限ったことではありません。
ちなみに、年間予算の上限を1億ユーロ(約160億円)にするという経費削減案が出ているそうですが、好きな人が参戦できるレースに戻さないとF1の存続は危ういでしょう。